歯槽骨が減る意味:歯を失うことが全身に与える影響

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歯を失うと全身が老ける

歯を失った人と、歯がある人を比べると、見た目年齢が大きく違います。顔がしぼみ、くぼみができます。これは単なる見た目の問題ではなく、体の内部で何かが起こっている証です。

実は、歯がなくなると、歯を支えていた骨も失われます。その骨は顔の形を作る土台です。この土台が崩れると、顔全体が沈み込み、老けた印象になるのです。

これは自然な老化ではなく、「異常な速度での老化」です。50代で骨を失った人は、60代以上に見える。そういうことが起こります。

骨が減ると「かむ力」が低下する

歯がなくなるか、支える骨が減ると、かむ力が著しく低下します。

入れ歯でかんでも、自分の歯でかむ力の30%程度しか出ません。何度もかまないと食べ物が飲み込めず、逆に負担がかかります。

すると何が起こるか。食べ物が十分に砕かれないまま胃に入ります。消化器官が過剰に働き、胃腸に負担がかかります。

長年これを続けると、消化不良につながり、栄養吸収が落ちます。栄養が足りなくなると、今度は全身の筋肉が減り始めます。

筋肉が減るのは骨をさらに弱くする

歯で骨が弱くなると、次に筋肉が減り始めます。

これは悪循環です。骨が弱いから十分にかめない。十分にかめないから栄養が吸収されない。栄養が不足するから筋肉が減る。筋肉が減ると、骨への刺激が減り、さらに骨が弱くなる。

この負のスパイラルに入ると、加速度的に体が老化していきます。

65歳時点で数本歯を失っている人と、全部の歯がある人では、75歳時点での「筋力」「歩行能力」「転倒リスク」に大きな差が出ます。

骨の中身も変わる

骨の問題は「量」だけではなく「質」も重要です。

骨を支える骨芽細胞という細胞は、毎日、古い骨を壊して新しい骨を作り続けています。骨の全体が3~5年で入れ替わるイメージです。

ところが、歯周病が進むと、この入れ替わりの過程がうまくいかなくなります。古い骨は壊されるのに、新しい骨が作られない。結果として骨が「スカスカ」になるのです。

密度が落ちた骨は、見た目には同じ大きさに見えても、強度は大きく低下しています。だから、ちょっとした刺激で骨が折れやすくなるのです。

認知機能まで関連する

最近の研究で、歯を失うことと認知症のリスクが関連している可能性が指摘されています。

なぜか。歯がなくなるまで歯周病が進むということは、その間ずっと「慢性的な炎症」が続いていたということです。

この炎症が、全身に広がります。血液を通じて、脳にも炎症信号が伝わります。この慢性炎症が、脳の老化を加速させる可能性があるのです。

つまり、歯周病で骨を失うことは、脳の老化も早めるかもしれない、ということです。

寿命も関連する

統計的に、歯が多い人ほど平均寿命が長いというデータがあります。

これは「歯がある人は長生きする」のではなく「歯を失わないくらい健康管理をしている人が長生きする」という意味です。

でも、その中には「歯のために食事が充実し、栄養がいい。だから全身が健康。だから長生き」という因果関係も含まれています。

つまり、歯と全身の健康は切り離せない。歯を大事にすることは、結果として「長く、健康に生きる」ことにつながるのです。

60代で対応するのと70代で対応するのでは大違い

歯周病による骨喪失は、一度進むと止めるのが難しくなります。

だから重要なのは「今のうちから対応する」ことです。

50代で「骨がちょっと減り始めています」と言われたら、そこから全力で対応すれば、70代80代で歯を失わずに済みます。

でも、何もしないで60代70代まで放置すれば、もう手遅れです。

今すぐやるべき3つのこと

1つ目は「定期検診」です。3ヶ月に1回、歯医者さんで検査を受け、レントゲンで骨の状態をチェック。

2つ目は「毎日のケア」です。やさしく、ていねいに歯を磨く。糸ようじを毎日使う。

3つ目は「生活習慣」です。タバコをやめる。しっかり寝る。バランスの良い食事をする。

特に50代から60代が分かれ道です。この時期の対応で、その後の20年の人生が大きく変わります。

歯を失うことは「歯だけの問題」ではなく、全身の老化を意味します。骨を守ることは、その先の人生全体を守ることなのです。


 

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執筆者

医療法人凌和会すが歯科矯正歯科

理事長 菅 良宜

治療理念

人生を変える歯科治療を通じて患者様の人生を良くしたい

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