「アロンアルフア」の会社が歯科へ参入──新しい止血・保護材「アロンキュア デンタル」とは?

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瞬間接着剤「アロンアルフア」で知られる東亞合成が、歯科分野に新しい一歩を踏み出しました。その製品こそ 「アロンキュア デンタル」
歯科医院の日常診療で頻繁に直面する「出血への対応」に、新しい視点を提供する止血・保護材です。

 

東亞合成が歯科領域へ挑む理由

東亞合成は、接着剤や化学素材で長年の実績を持つ企業です。同社はこれまで医療用アロンアルフアを外科用途に供給してきましたが、歯科専用の新規製品開発は今回が初めての試みです。

背景には、大学研究者が開発した新素材「Wispecs®」技術の存在があります。口腔内という湿潤環境でも安定して作用する素材であり、東亞合成はこれを活用し「歯科に特化した止血・保護材」を形にしたのです。

 

「アロンキュア デンタル」の特長

この製品の大きな特長は 「化学反応を利用せず、物理的な力で組織に密着する」 ことです。

・スポンジ状の素材が水分を吸収すると柔らかくなり、粘着性を発揮

・数秒で患部にフィットし、物理的な吸着力で安定

・圧迫はごく軽くて済む

・自然に分解され、除去操作は不要

従来の止血材では「強い圧迫が必要」「取り除く処置が必須」といった課題がありました。アロンキュア デンタルは、そうした不便を大きく軽減できる点で画期的です。特に小児や高齢者の治療では、除去操作が不要というメリットが患者さんの負担軽減につながります。

 

現場での工夫と使いやすさ

開発にあたっては、歯科現場からの声を重視して改良が進められました。

小さな出血にも対応できるサイズ

個包装でチェアサイドに常備しやすい仕様

操作方法がシンプル(乾いたピンセットで扱い、軽く圧をかけるだけ)

また、裏面を水で湿らせれば貼り付きにくくなるため、操作性のコントロールも可能です。
これらはすべて「現場で使いやすいこと」を徹底的に意識して設計された結果といえます。

 

導入状況と今後の展望

発売からおよそ1年、すでに 500~600軒の歯科医院 で導入されているとのことです。現場の歯科医師からは「接着の強さに驚いた」「小規模な出血への対応が格段に楽になった」といった評価が寄せられています。

東亞合成の担当者は、「今後はセミナーやマニュアル作成を通じて、使用法を広く浸透させ、歯科医院の“常備品”として定着させたい」としています。

 

まとめ

アロンキュア デンタルは、これまでの止血材とは異なる「接着による止血」というアプローチを提示しました。患者さんにとっては負担軽減、歯科医院にとっては操作性と効率化を両立させる新しい選択肢です。

今後、臨床現場での利用がさらに広がれば、日常診療を支える“なくてはならない存在”になるかもしれません。

参考文献・引用元

  • Dentwave. 「“アロンアルフア”の東亞合成が歯科に?──止血・保護材『アロンキュア デンタル』の正体」Dentwave Report, 2025年8月25日.
    https://www.dentwave.com/report_20250825_dw

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